レフェレンダムショック(ついに始まったドル不足と邦銀の即死リスク)

投稿者: | 2016年06月27日 04:12

今回のイギリスのレフェレンダムショックで最も危惧されていた事態が発生しています。

ドル不足です。

既に一瞬にして市場からドルが数兆ドル(円換算で数百兆円)消えてしまい、邦銀が払う調達コストが0.8%にまで跳ね上がっており、いわば“ジャパンプレミアム”が発生しているのです。
この“ジャパンプレミアム”はまだ0.8%と低いですが、今年1月には0.3%台であった訳であり、この半年で2倍以上に跳ね上がっていることになるのです。
しかも、この“ジャパンプレミアム”ですが、今回のレフェレンダムショックで上昇はしていますが、実は今年1月からじりじりと上昇していたもので、いわば一過性の上昇ではないのが分かります。

日銀によれば、邦銀はドルを借り入れて運用している総額は今年2月時点で1兆5450億ドル、円換算で160兆円以上と2010年に比べ2倍に増えており、メガバンクは外貨運用額の約16%にあたる約2,400億ドルを円ドル交換の手法で調達しており、その調達金利が0.8%に跳ね上がっており、これでは運用どころか逆ザヤになりかねない高金利となっているのです。

そしてドル資金を預金で集められない生命保険会社など機関投資家を加えると総額は1兆ドル、円換算で100兆円に膨んでいると言われており、この100兆円が逆ザヤになり始めているのです。

そして「まだ」逆ザヤならましで、「期限前返済」や「借り換え停止」を求められ始めれば、危機は一気に深まります。
何故なら、100兆円に相当するドルをどうやって邦銀・生保等が調達できるのか、となるからです。

リーマンショック時には、日銀・政府部で日銀が保有する外貨準備高を使うということが検討されていましたが、その当時と今とでは規模が違っており、日銀が仮に邦銀等にドルを融通しようと思いましてもそんな金額のドルはありません。

日銀が保有するドルを全額回せばよいではないかという議論が出てくるかも知れませんが、そうなれば日本は輸入出来なくなります。
そして日本の信用が地に落ち、円は暴落することになります。

ドルが消える日

今、これが現実化し始めており、ドルが消えれば第2のリーマンショックが発生します。

第一次リーマンショックが発生したのはヨーロッパが発端だったことを覚えている方も多いと思います。
ヨーロッパ金融市場でドルが不足し、ドル調達コストがオーバーナイトで10%を超える事態に陥り中小金融機関が破たんし始め、そしてデリバティブ市場に影響が波及したためにリーマンショックが発生したのです。

今、世界の中央銀行がドルを供給する用意があると緊急声明を出したのも第2次リーマンショックが迫っているからです。

「もし」今週中に一つでもヨーロッパの金融機関の危機が表面化した場合、世界中でドルの取り付け騒動が発生し、一気にドル調達金利が10%を超える事態になるかも
知れません。
そうなれば、【株】は再度暴落し、【金】は暴騰することになります。

仮に今は落ち着きましても必ず【ドイツ銀行】のデリバティブ問題が表面化します。
その時、ドル不足が重なれば、世界中の金融機関、中でも邦銀に世界中の金融機関から返済要求が殺到し、それに応じられない金融機関は即死することもあり得ることを頭の中にいれておくべきだと言えます。

日銀が救済できる規模を遥かに超えている日本の金融機関のドル建て借金は日本を一瞬にして破産に追い込むことになるリスクを持っています。

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