実物資産時代の到来

投稿者: | 2016年02月14日 11:50

リーマンショック後は金融市場に膨大なお金が流れ込み、株・不動産等の金融バブルが発生し、この一部はピカソ等の現代アートに流れ込んでいましたが、昨年11月から流れが一変し、株も現代アートも高値波乱となっていました。

即ち、ピカソ等の現代アートは金融バブルと軌を一にして動いてきたもので、価格も10倍、20倍という異常な価格を付ける作品も多く出ていたのです。

ところが、FRBの利上げ前から世界の金融市場は明らかに流れが変わり、株も不安定化し、現代アートも売れ残るという事態が発生するようになっていたのです。

 

絵画市場から見る金融市場の変調は≪現代アート売り・印象派買い≫という流れになり、この2月のロンドン印象派・現代アート絵画オークションでは、それが明確に出る結果となったのです。

今まで一貫して売られていた印象派の巨匠である【Renoir(ルノワール)】絵画が見積り下限価格の2倍から3倍にまで買い上げられた作品が出てきたのです。

特にクリスティーズオークションの「裸婦」は見積り下限価格の2倍以上の7億円以上(389万ポンド)の価格で落札されていますが、状態が良くなくもし完璧な状態であれば10億円を超えていたかも知れません。

もう一点は非常に小さい作品ですが、見積価格の3.12倍の6700万円(37万ポンド)余りで落札されています。

両方とも今までの≪印象派売り・現代絵画買い≫という流れであれば、下限が精一杯だったはずです。

明らかに流れが変わったのです。

今まで売られていた作品群が買われ、今まで買われていた作品が売られる流れとなってきており、これはまだほんの一例に過ぎませんが、今年2016年はこの「変化」が劇的に起こる一年と言えるはずです。

金融商品である「株・不動産」が売られ、本当の価値のある【実物資産】が買われる時代が今後数年間は続き、状態のよい最高級の作品には見積もりの3倍、5倍という価格が平気で払われるはずです。

専門家が設定する価格の3倍、5倍は当たり前という市場が続けば、今度は誰も売ってきません。そして少なくなった一握りの最高級の作品に人気が集中し、落札価格が数倍になり、それが一層の価格引き上げをもたらし相場を引き上げていくことになります。

超優良株が一年もしないうちに50%以上価値を失う時代であり、資産家なら株には怖くて手を出しません。

資産を増やすリスクをとるのではなく、資産を守るメリットを求めるからです。

今後、今まで売られてきた【実物資産】が買われ、過去最高値を更新する実物資産が数年後には続出することになるでしょうが、その時、株や不動産は叩き売られており、これら金融商品をもっている個人は半値、3分の一以下になった株や投信を目の前にして唖然となるでしょうが、資産家はその時には価値を高めた【実物資産】で資産を保全しており悠然と構えているはずです。

今年は、印象派や19世紀絵画、ダイヤモンド、稀少金貨等の<状態のよい実物資産>の価値を高める一年になり、その流れは今後数年間は続くことになると見ています。

 

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