爆買いの指標とも言える、香港資本の免税業者最大手のラオックスは、今期は売り上げこそ増えるものの利益は18.4%減少すると発表しており、売上・営業益の詳細をみますと流れが完全に変わったのが分かります。
ラオックス売上推移 営業益推移
26年12月期 501億円(+51.4%) 17.3億円(黒字転換)
27年12月期 926億円(+84.6%) 85.5億円(+394.5%)
28年12月期1,000億円(+ 7.8%)*予想 70億円(-18.4%)*予想
物凄い急ブレーキがかかっているのが分かります。
しかもこの予想は今の円高の影響を勘案していない数字であり、実際には売り上げも減少するかも知れず、営業利益もラオックスは新しい店をオープンさせたり物凄い設備投資をしており固定費が高くなっており、18%では済まない減益に陥るかも知れません。
爆買いの異変は何度も指摘してきていましたが、最大手の利益がマイナスに転じるとしたことで、トレンドは明らかに変わったと言えます。
日本への爆買いブームは円安もあり日本が“安く売られていた”ために買い物ツアー先になっていたもので、円が高くなれば当然外国人の購買力は落ち買わなくなりますし、例え買ったとしましても数を減らしたり値引きを余計に求めたりして、結果として消費額は減ることになります。
年間3兆円とも言われてきた「爆買い」が、10%減るだけで3000億円も減ることになりますが、実際の為替(円高)で10%減少、マインドの萎縮で10%の減少を見せれば、トータルでは20%の減少となり、総額ベースでは6000億円もの減少となりかねないのです。
ただでさえ日本人の消費が減少している中、「爆買い」分で消費が6000億円も減ればどうなるでしょうか?
今、東京・銀座は歩いている人の90%以上が中国人やアジア人ではないかと思える状況ですが、その外国人が消えれば銀座は静かになりますが、果たして消えた日本人が戻ってくるでしょうか? 中国人等を優遇したために日本人のお得意さんが消えてしまった日本のデパート等はとんでもない不況に陥るかも知れません。
また、気になる動きがあります。
今回の北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けて日本の外務大臣が中国の外務大臣に電話をかけても忙しいとして電話に出なくなったことです。
これは中国の対日融和策の転換を意味するとも言え、そうなれば当然日本向け旅行団の送り出しを制限することにもつながりかねません。
特に6月16日の上海ディズニーランド開園後は日本ではなく、国内旅行を奨励することもあり得、既に昨年末には、香港のある業者は香港でのビジネスを取りやめ、上海に基盤を移すという決断をしたそうですが、この企業は中国共産党幹部も一目置く存在であり、そこが上海に店を移転させるとなっているのです。
また、ある北米の会社にも上海に店を構えて欲しいとの依頼が来ており、トップの年収は100万ドルとも言われており物凄い厚遇となっています。
「爆買い」は海外では終わり、中国国内に移行すると見て間違いなく、今年2016年は日本の消費産業は一斉に中国シフトをしていますが、とんでもない事態になるかも知れません。
勿論、全ての中国人が消える訳ではなく、かつアジア人もいますので、一気に30%、50%という落ち込方はしないでしょうが、20%。30%増えると思って準備していたのが反対に10%でも20%でも減少すれば、上から下への減少は50%にもなり得ますので打撃は測り知れません。