中国税関総署が発表した2015年の同国貿易総額は、人民元ベースで2014年に比べ7.0%減となっており、リーマン・ショック後の2009年以来6年ぶりに前年水準を下回ったと発表されています。
中国政府は目標として+6%を設定していたと言われており、大幅な落ち込みと言えます。
輸入 -13.2%
輸出 - 1.8%
特に輸入が大幅に落ち込んでおり、これが今の原油安・資源安の一因とも言えますが、問題は世界の工場と言われた中国の輸出がマイナスに転じたことです。
中国は輸出を前提に膨大な設備投資を行ってきており、これがマイナスに転じたということは、輸出向けに作りました製品が国内にとどまっているということになるのです。
鉄鋼などはその典型例であり、中国は今や2億トンとも3億トンとも言われる過剰設備・在庫を有しており、これらが世界中に流れ込んできており、製品価格安(デフレ)を招いているのです。
*因みに日本の粗鋼生産量は1億トン余りであり、今や中国が本気で日本向けに輸出してくれば日本の鉄鋼メーカーが必要ない状態になってきているのです。勿論高品質製品は日本の鉄鋼メーカーがまだ優位を保っていますが、その優位も時間の問題かも知れません。
今年2016年の中国の輸出は「人民元安」で盛り返すかもしれませんが、それはとりもなおさず輸入国からすれば、ダンピング輸出となり、輸入国からすれば死活問題になります。
2016年は「人民元安」で世界にデフレ輸出が広まる一年になるかもしれません。