人民元(11年振りの安値)と超円高

投稿者: | 2019年08月05日 01:24

中国人民元が5日、1ドル=7元台に下落し、これは2008年5月以来11年振りの安値となると報じられていますが、円相場も一ドル105円台に入ってきており、以前にも解説しましたが、通貨安戦争が始まってきたのだと言えます。

極端な意見だと言えますが、円相場は一ドル60円台にまで突入することもあり得ますが、この60円台を予想する専門家もおり、
エネルギーを放出せずに円安に持ち込んだ「アベノミクス」であり、この「アベノミクス」が終わるとすれば、最後のエネルギーを放出する際には超円高が襲ってくることになります。

今、企業業績は悪化を続けていますが、そこで円高が襲ってくれば、企業業績はガタガタになります。
トヨタは1円の円高で400億円利益がへるともいわれており、仮に1ドル60円台になれば、今から45円の円高であり、1兆8000億円もの利益減となり、ほぼ営業利益は消えます。
天下のトヨタが利益なしとなれば、他の企業は軒並み赤字に転落し、売り上げ減少に円高で上場会社で数万人規模の人員削減となり兼ねません。
日本全体では数十万人規模の人員削減となる恐れもあり、日本の失業率が一気に跳ね上がることにもなります。

中国元安は輸出補助金であるという認定をアメリカから受けることもあり得ますが、今の中国からすれば何を言われようが気にしないとなりつつあり、このまま一ドル7元台を通り越し8元、9元という水準に切り下がることもあり得ます。

この元安では、中国が保有します海外資産の価値が上がりますので、中国としては換金しやすくなります。
今、中国は3兆ドル(320兆円)ほどの外貨準備高を保有していますが、10%元安・ドル高となるだけで円換算で32兆円余り「儲かり」ますので、アメリカが課す関税を埋めてもまだ余ります。
また中国の輸出メーカーもそれだけドルの手取り額が増え、数量が減った分以上に儲かることもあり得ます。

「通貨安」は貿易戦争で勝つより、より利益になりますので、中国政府としてはこの「通貨安」政策でアメリカに対抗するとなっているのでしょうが、果たしてアメリカはどこまで容認するでしょうか?

貿易戦争では誰も勝者はいませんが、通貨戦争では一早く通貨安を導入した国は莫大な利益を上げることが出来るのです。

関連する記事

カテゴリー: NEW