TPPが完全に空中分解しており、オバマ政権はTPP批准を求めて議会に提出していますが、議会でも審議される見込みもなく、かつ共和党大統領候補(トランプ氏)、民主党大統領候補(クリントン氏)両氏とも、TPPに反対を唱えており、このままいけば、TPPはアメリカは批准しないとなり空中分解することになります。
大統領に一番近いヒラリークリントン氏は、大統領選挙期間中はTPPに反対するも当選後は賛成に回ると見られていましたが、ミシガン州で経済政策について以下のような演説を行い、TPP反対を明確にしているのです。
『選挙後も大統領に就任した後も反対する』
『TPPを含め、雇用悪化や賃金低下につながる貿易協定を止める』
これで民主・共和党大統領ともTPPに反対となり、議会も反対となっており、アメリカの政界でTPP批准を求める勢力が消滅したことになるのです。
以前意見交換しましたアメリカの外交官は以下のような話をしていたことがあります。
『そもそもTPPは日本の農産・畜産市場を開放させるために準備した政策であり、日本は既に殆どの分野で事実上の市場解放を認めており、今後は日本が認めた条件で二国間協議をすればよいことになる』
即ち、アメリカはもはやTPPは必要ない状態になっているのです。
次期新大統領は、アメリカの雇用を守るとして日本にTPP交渉過程で日本が認めた開放策を粛々と実行させれば良い訳であり、
いわばエースカードを握っている状態になっているのです。
ヒラリークリントン候補がTPPに反対を明確にした以上、もはやTPPは消えるしかありませんし、日本はTPP交渉ですべての持ちカードをさらけ出してしまった、最大の失敗を犯した国となります。
交渉で自分のカードをすべてさらけ出してしまえば負けるのは当然ですが、実際にはアメリカ等に「はめられた」とも言え、いずれTPP交渉の裏側の話がアメリカやその他の国から出てきた時には日本は唖然となるかも知れません。
「事実は小説より奇なり」とも言われますが、今回のTPP交渉はとんだ茶番だったとなるかも知れません。