デフレで生き残る者は?

投稿者: | 2016年02月21日 10:16

今、消費が悪いのは暖冬のためだ、日数が少ない等々という議論で片づけられていますが、本当の姿は違います。

NHKでは大手シンクタンクの専門家が10-12月期のGDPマイナス成長の原因を暖冬と述べていましたが、この10-12月期のGDP統計の消費部門をみますと大きな落ち込みを見せているのは自動車等の「耐久消費財」であり、暖冬の影響を受ける衣料品ではありません。

もっともらしい理由を付ければ誰でも納得すると思われているのでしょうが大手シンクタンクがこれでは日本企業の経営者が現状を間違うのも無理はないと言えます。

 

その現状ですが、1月のデパートの売り上げが発表され、こちらも暖冬の影響で売り上げがマイナスになったと報じられています。

ところで1月は何があったでしょうか?

福袋です。

マスコミではこの福袋を大きくとり上げてさも景気がよいように報じていましたが、ふたを開ければ1月のデパートの売り上げは5,309億円と-1.9%となっていたのです。

 

ところが東京だけをみますと1392億円と+0.2%となっていました。

そしてこの増えた0.2%の原因は?となりますと、一つの商品の「爆売れ」があります。

化粧品です。

103億円 +30.8%

約30億円になります。

東京のデパートの売り上げが約28億円増えていますが、化粧品の売り上げ増ですべてカバーできていることになるのです。

これが「爆買い」と言われる実態です。

この化粧品の30億円、30%を超える増加がなければ東京・日本のデパートの売り上げは恐ろしい状態になっていたことが分かります。

 

東京では中国人等が大量にデパートに来ていますが、彼らが購入している殆どは化粧品であり、服や時計等の高級品ではありません。

これは地方でも同じはずであり、地方を見ればこの化粧品の「爆売れ」があっても売り上げがマイナスになっているひどい実態があるのです。

今年2016年は円高もあり「爆買い」も落ちて来るはずでありもはや生き残ることが出来ない地方のデパートが続出するかも知れません。

 

また、暖冬でデパートに来るある意味「富裕層」の主婦が買い控えるでしょうか?

デパートに来る「富裕層」の主婦たちは値段に関係なく良いものしか買いません。

都内のデパートでは「いちご」が一パック1,000円、2,000円という価格で売られていますが、平気な顔をして買っていきます。

熊本産の「デコポン」もスーパーでは一個300円以下で売られていますが、デパートでは一個600円、1000円ですが普通に売れています。

このような高級品を買う層が暖冬で消費を減らすはずがないのです。

 

全国及び東京のデパートの売り上げから分かることは、今の消費の不振は日本人の貧乏化に原因があると言えるのです。

 

日本人は1700兆円近い金融資産を持っており、膨大な対外資産を持っている云々と言われますが、ならばなぜ今のようなGDPマイナス成長経済となっているのでしょうか?

「爆買い」がなければデパートがやっていけないような消費となっているのでしょうか?

本当にそれだけのお金を持っているのなら、デフレなどなりようがない筈です。

 

末端では、200円カレー弁当が流行ったり、新橋では1000円で焼酎を2杯飲み、焼き串を2本食べて30円程のお釣りが来ると報じられており、今徐々にまたデフレが進みはじめています。

そして金融緩和を進めてもそれを無視するかのように円高・株安が進みはじめており、国民も企業も萎縮をどんどん進めています。

 

地方では金庫が売れ始めていると報じられていますが、地銀などは稼げる「ネタ」がなくなり生きていけないのではないかという危惧をする資産家が増えてきている証拠なのです。

1000万円までは「一応」保護されるがそれ以上は破たんとなれば「ゼロ」になるのでないか、と危惧する資産家が増えてきているのです。

 

では現金は安全なのでしょうか?

紙幣を切り替えられたら「終わり」です。

今はマイナンバーもあり、昔のように紙幣切り替えが起こり、新紙幣交換のためにはマイナンバーを通してしか交換しないと政府が決めその限度額を100万円なり50万円に制限すればいくら現金がありましても意味がありません。

 

昔の人が行っていた「蔵」に実物資産を積み上げて嵐が過ぎるのを待つのが最も賢明な方法だと言えます。

成功した昔の地主や庄屋さんはまず一の蔵を作り、実物資産を積みあげていき、入り切れなくなれば2の蔵を作り、それでも足らなくなれば3の蔵を作り、書画骨董等を初めとした実物資産を蓄えていたのです。

ところが、藩にお金を貸したり、個人や同業者にお金を貸していた札差等は無効になった借金証文を前に破産していきました。

紙は所詮紙だったのです。

 

今から40年以上も前になりますが、中国の明朝時代の壺・皿を数百個コレクションしていた親戚もいましたが、今それがあればそして本物であれば一体どれくらいの価値になっているでしょうか?

数十億円ではきかない価値を持っているかも知れません。

そしていつも話していました。

『一番高い物を買っておくべきだ』と。

品質が良いものは高いと知っていたのです。二つ同じようなものがあり、一つは完全なもので、もう一つの2倍、3倍以上していても2倍、3倍以上している良いものを買っておけ、と口癖のように話していました。

 

並みの人間にはできることではありませんが、これができるからこそ、本当の資産家の元には最高の品質の物が集まり、そして将来物凄い価値を持つことになるのです。

 

デフレが進めば進むほど金融資産の価値は不安定になり、そして反対に実物資産の価値は高まります。

今年2016年は本当の資産家がその資産の価値を認識できる一年になるでしょうし、来年、再来年と保有する実物資産の価値が高まるのを見ることになるはずです。

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