製造業の凋落:完成した豪華客船と膨大な損失

投稿者: | 2016年03月16日 10:00

三菱重工が2隻1,000億円で受注しました大型客船「アイーダ・プリマ」の1隻目を、発注先のドイツアイーダ・クルーズに引き渡したと発表していますが、あと一隻はまだ建造中であり、既に1,866億円の損失を計上していますが、2隻目の引き渡しで更に損失が膨らみ、総額で2,000億円を超える損失となるかも知れません。

 

1,000億円で受注して利益があがると思っていたものが、利益どころか2,000億円もの損をする事態になり、今後豪華客船建造事業から撤退するとも言われており、得るものが何もなかったことになります。

 

日本は、かつては世界に誇る「造船大国」でしたが、今や「韓国・中国」が造船大国とも言われており、技術的にはまだ日本は上かも知れませんが、いずれ技術でも抜かれるかも知れません。

 

今回の豪華客船建造で被った2000億円の損などは三菱重工からすれば大した金額ではありませんが、それでも利益を大幅に減らすことになり、また建造遅延で失った信用はそう簡単に取り返すことは出来ません。

 

日本はどのようなことがあろうとも期日にまでは完成させるという猛烈さ・勤勉さがかつては売りでしたが、今やそれは消えてしまい、ある意味「普通の国」になったのかも知れませんが、それで果たして海外と競争が出来るでしょうか?

 

MRJの遅延もそうですが、期日までに完成させるということが出来なくなりつつある今の日本が、「普通の成熟した国」として生きていくことになるとすれば、猛烈に働いて追い上げてきているアジアの新興国との競争に勝てるでしょうか?

 

シャープ・東芝(家電部門)の買収を見ていますと日本の製造業はこの先果たして生き残ることが出来るのか、という問題に行きつきます。

世界一の自動車メーカーであるトヨタは2兆円を超える利益を上げており、問題は一見ないように見えますが、その利益の大方は円安の恩恵を受けての利益とすれば、縮小する日本国内の自動車販売を前にじり貧となりかねず、円相場が仮に円高に向かえば、また赤字に転落するかも知れません。

 

貿易統計から見える、輸出数量が漸減している日本の製造業の本当の力は今や凋落してしまっているのかも知れません。

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