ロシア軍がイラン基地を利用(シリア空爆)と変わる世界支配構造

投稿者: | 2016年08月18日 07:48

先日来、【ロシア】と【イラン】との関係が強化されるとこのブログで指摘してきておりましたが、ここに来て軍事的に国連安保理決議をも逸脱する事態が発覚しており、【イラン】が本格的に【ロシア】を味方につけて「牙」を向き始めたと言えます。

今回発覚しました事態は、ロシア国防省の発表によれば、【ロシア】が誇ります長距離爆撃機<ツポレフ22M3>と戦略爆撃機<スホーイ34>が【イラン】のマハダーン空軍基地に着陸し給油したのち、シリア国内を爆撃したとしているのです。
今まではロシア軍は空爆にはシリア北部のラタキア郊外のシリア空軍基地を使っていましたが、超大型の長距離爆撃機<ツポレフ22M3>はこの基地が使えなかったのです。

今回、この長距離爆撃機<ツポレフ22M3>が【イラン】のマハダーン空軍基地を経由して爆撃に参加できたということは、シリア向けだけではなく、中近東全般にこの<ツポレフ22M3>が出撃できる体制となったことを世界に誇示した訳であり、【ロシア】としてはあと一息でアラブ世界を手中に収めることが出来るようになります。

そのあと一息というのは【トルコ】から「NATO軍の追放」です。
これが実現出来れば、この地域のパワーバランスが劇的に変化し、【ロシア】が大手を振って支配に入れます。

ではアメリカはどうでるでしょうか?
今回、【イラン】が【ロシア】にマハダーン空軍基地を利用させたことに対して、トナー国務省副報道官は以下のように述べているだけです。

『この地域の複雑な情勢を一層難しくする。望ましいことではない。』
『昨年7月の国連安保理決議はイランが他国への軍用機提供等を禁止しており、これに違反するかどうか詳細を分析中である』

いわば寝ぼけた発言しかしていません。

アメリカはオバマ大統領のレガシー作りのためイラン制裁解除を焦ったためにこのような事態を招いた訳であり、イランでは誰が本当の実権を握っているかわかりそうなものですが、焦るアメリカはあえて実権者の発言・動向を無視して制裁解除に走り、今このような事態になり、ケリー国務長官は以下のように思っているはずです。

『なぜオバマ大統領引退後にこの事態が起こらなかったのか?ちょっと時間が早すぎた』と。

恐らくイランとの裏交渉で具体的な制裁やぶりの行動はオバマ大統領退任後にすると話がまとまっていたはずですが、それを【ロシア】が逆手にとり、アメリカを刺激するような動きに出しきているもので、本来ならこの事態は国連安保理決議違反として緊急理事会が開催され、イラン向け制裁解除を取りやめるという決議が出そうなものですが、そのようなことをすればロシアの思うつぼであり、かつロシアが拒否権を持っている以上、決議が採択されるはずもありません。

アメリカオバマ大統領が如何に能無しか、今後徐々にわかってくるでしょうが、その時には世界のパワーバランスが大きく崩れてしまっており、ロシアの天国となっているかも知れません。

そのようなロシアを相手に安倍総理がウラジオストクで日ソ首脳会談を行って大丈夫でしょうか?
安倍総理の外交成果は今まであったのか?と冷静に見てみますと一体何があるでしょうか?
ここでロシア外交を焦れば、アメリカが嵌ったイラン外交失敗の二の舞を演じることになるだけです。

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