今回の仲裁裁判所の裁定結果は中国からすれば想定通りとなっており、特に¨強い¨反発もしていません。
負けることを想定していたからです。
仲裁裁判所は当事国が同意しないと受け付けて貰えません。
そこに紛争があると両当事国が認めないと仲裁裁判所に持ち込めないのです。
ではなぜ中国はスプラトリー諸島に紛争があると認めて仲裁裁判を受けたのでしょうか?
あるヨーロッパの外交官は以下のような話を以前していました。
日本は気を付けた方がいい、と。
今回の仲裁裁判は日本をターゲットにした中国の捨て身の戦略だと指摘していたのです。
日本は韓国との間に竹島紛争があり、ロシアとの間に北方領土問題があり、中国との間に尖閣諸島問題(これは次の段階になりますが)があり、これら問題を日本は仲裁裁判所に提訴していません。
韓国との間では韓国が仲裁裁判所への提訴を受け入れないとされているのです。
ロシアとの間ではそもそも提訴云々という話は聞きません。
しかしながら、今回の裁定を受けて日本国内で韓国、ロシアを相手にした仲裁裁判所への提訴をするべきだとの議論が巻き起これば、どうなるでしょうか?
そして中国が尖閣諸島帰属問題につき日本に仲裁裁判所提訴を要求してきた場合、日本はどうするでしょうか?
日本を巡って3ケ国内との間で仲裁裁判が始まることもあり得るのです。
そしてそこで中国が¨本気で¨影響力を行使して竹島と北方領土で相次いで日本敗北となる裁定結果が出されればどうなるでしょうか?
中国はそこで尖閣諸島問題を打ち出してくるでしょう。
今回の裁定は中国の捨て身の外交戦略が裏にあるということを理解しておく必要があります。