年初から下落傾向が続いていましたヨーロッパの銀行株ですが、ここにきて底が抜け始め、【株価指数ストックス600の銀行株指数】が昨日より2.6%マイナスの117.52ポイントで終わり、これは2011年7月下旬以来に安値と報じられています。
昨日もこのブログで指摘しましたが、今やヨーロッパの主要銀行株が軒並み売られており、特に、ドイツとイタリアは今や崩壊寸前になりつつあると言えます。
【ドイツ銀行】株は<-5.6%>の11.54ユーロとなり、「まだ」10ユーロ台を維持していますが、ジョージソロス氏が大量にカラ売りを仕掛けていると言われる中、果たしてこの水準を維持できるかどうか微妙だと言え、デリバティブ問題が炸裂した場合、一ケタ違った株価になりましても何ら不思議では
ありません。
イギリスのレフェレンダムショックが今回の暴落の引き金を引いたのは確かですが、根は全く違うところにあり、今までで時間を買っていた政策である
【金融緩和】策が今や時間切れになりつつあり、究極の政策であるマイナス金利になりましても一向に景気は回復せず、回復どころがデフレが深刻化する事態になりつつあるのです。
ここまでお金をばらまき株を買い上げ不動産バブルを起こさせた【ヨーロッパ中央銀行・ドラギ総裁】ですが、今や無策の帝王とまで一部で言われるようになってきており、解任を求める動きも水面下で出てきていると言われているのです。
これは日本でも同じであり、更なる緩和策を渋っている【日銀黒田総裁】の退任を求める動きも出てきているとも言われており、残るはアメリカのイエレンFRB議長となりますが、トランプ氏はイエレン氏の退任を求める発言をしており、緩和策の失敗であるとして批判がFRBに向き始めてもいます。
世界中で中央銀行が批判にあっていますが、ではその批判を受けるべき立場に中央銀行はあるのでしょうか?
それは金融政策が景気をどうさせるのか、ここを分かっていませんと議論になりません。
例えば、【日銀】は金融調節をする機関であり景気を持ちあげる力などないことを理解しておく必要があります。
一義的には政府が財政出動等の政策を行い、そして【日銀】が補完的に金融政策を調整するという役割分担があります。
政府が動かなければ【日銀】がいくら金融政策でお金を市場にばらまきましても、効果はないのです。
日本では安倍政権が3本の矢として金融政策だけ華々しく打ち上げ、株が買い上げられ不動産バブルが発生していますが、財政出動が事実上されておらず、【日銀】としてはいつまで待てばよいのだとなってきており、ここに来て【日銀】内部でこれ以上金融緩和を継続すれば、【日銀】の金融政策の根本である国債買い入れが不調に陥りかねないとなっており、即ち「札割れ」となりますが、これが起これば、市場は日銀の限界が来たと知り、一斉に国債を売り込む動きをする筈なのです。
そうなれば【日銀】は膨大な含み損を抱えることになり、【日銀】の「破たん」という事態も想定されるのです。
この【日銀】の「破たん」を避けるためには、政府が【日銀】に資金投入することになりますが、政府は借金証文である国債を発行するしかお金はありません。
この国債が暴落している最中に、国債を発行して【日銀】を救済する?
終わりの無いループに入り込むことになります。
世界的に<中央銀行>にリスクが集まり、今やそれが限界点に達し始めているために、その傘下にある銀行株が売られているもので、世界はもはや頼れる中央銀行がいない時代に突入してきていると言えるのです。
今後世界的巨大銀行の崩落が見られるはずであり、それは日本でも例外ではありません。
リーマンショック後に邦銀は海外展開を積極的に進めたために、今や世界有数の「ごみ溜め」とまで言われるようになってきており、今後この「ごみ溜め」が
どうなるかによって、邦銀破たんという事態にまで発展するかも知れません。
金融緩和が行き過ぎたために、あり得ない程の低金利で借金をしてきた新興国やジャンク債格付けの企業が世界中にありますが、そこが借金返済ができないとなればどうなるでしょうか?
リスクが顕在化しない間は投融資は素晴らしい<財産>ですが、一旦リスクが顕在化してきますとそれは<膿>となり、死に至る病の根源となりかねないのです。
株が上下動を繰り返しましても、【金融崩壊】が始まったと認識しておくべきだと言えます。