アメリカの財務省は「外国為替報告書」を公表し、日本・中国・ドイツ・韓国・台湾を「為替監視対象国」に指定したと公表されています。
また、今後以下の条件に合致する国に対しては、制裁(対抗)処置を取るよう議会に求めており、日本はその条件にぎりぎり合致しており、今の円高に対して介入も想定される発言をしている麻生大臣は手足を縛られた格好になっています。
<制裁発動基準>
1)対米貿易黒字が200億ドル以上 >> 日本は該当
2)経常黒字がGDPの3%以上 >> 日本は該当
3)為替介入規模がGDPの2%以上 >> 日本は該当せず
今、日本は上記2つの条件が該当しており、今後円高を抑えるために介入をすれば3)も該当することになり、アメリカは日本に制裁をすることになりかねない
のです。
また、財務省は今回の報告書公表にあたり異例のコメントを発表しています。
「最近の円高は秩序だっている」
即ち、「急激」とは認識しておらず、麻生財務大臣と認識が違っているとわざわざ指摘しているのです。
このコメントで日本が為替介入が出来ない事態になっており、仮に介入をすれば上記3)の基準額に達しなくとも、アメリカは日本に対して警告を発することになり、今、日本に対して厳しい発言をしている共和党のトランプ候補を勢いづかせることになりかねないのです。
これは民主党のオバマ大統領としては看過できない事態であり、かつ「伊勢志摩サミット」を控え、日本が為替介入を今のタイミングですれば、サミットで安倍総理が集中砲火を浴びることもあり得、政治的に介入はあり得ないとなります。
即ち、政治的には為替介入は「出来ない」と市場は読みはじめており、今週は安倍総理はヨーロッパ外遊中であり、かつ日本市場はゴールデンウイークでもあり投機筋としては大手を振って円を買い進めることが出来る状態にあるのです。
為替市場では、先週一日で一ドル3円以上の急騰を演じさせることができると実証した訳であり、一ドル106円台から100円突破まで2日もあれば「十分」と投機筋が認識した場合、一ドル100円突破が今週中に起こることもあり得ます。
日米が為替問題で激突することは投機筋には最高の環境であり、それをあえて演出する環境が今週は整っており、一ドル100円突破、そして日本株式市場が連休で休んでいる間に、海外先物市場で日経平均先物が更に連続して1,000円以上暴落することも十分あり得ます。
今週は為替市場関係者のみならず、貿易関係者・輸出入メーカーの幹部は休んでいる時ではないかも知れません。