ムーディーズは1日に【中国】の格付けを格下げ方向に見直したのに続き、今度は【香港】の信用格付け見通しを最上位から2番目の「Aa1/安定的」から「Aa1/ネガティブ」に引き下げたと発表しています。
この引き下げは、中国経済の悪化が背景にありますが、更には中国国内の積み上がる借金・負債が最も影響しているはずです。
中国税関総署が8日発表しました2月の輸出額がドルベースで一年前に比べ25・4%減少(1月は-11.4%)となり、輸入も13・8%減となっており、輸出と輸入を合わせた貿易総額は20・8%も減少し、貿易総額のマイナスは12カ月連続となっており、ここにきて中国経済がガクンと落ち込んできているのです。
貿易総額が20%も落ち込めば個別企業ベースでは半減以下になっている企業も多く出ている筈であり、それら企業では資金が回らなくなるのは当たり前であり、倒産・夜逃げ・賃金未払いが起こります。
中国で最も経営が悪化している分野と言われる石炭関連では賃金の未払いで暴動が発生していると中国のインターネットでは報じており、全人代では共産党幹部は賃金の未払いはないと言い切っていましたが、これが全く嘘であるとして大規模な暴動に発展したと言われており、今後中国各地で賃金支払いを求めて暴動が相次いで発生するかも知れません。
ところで今回の全人代では驚くべきことが公表されています。
*粗鋼生産能力を今後5年間で最大1.5億トン減らす
中国の粗鋼生産能力は11億トン(生産量は8億トン)を超えると言われており、今、更に設備の増強も行われており、そのような中、老朽化した設備を廃棄して生産能力を減らすとなっているのでしょうが、問題はそのような老朽化した設備をもっている企業は古い企業であり、借金も多く会社をたたむことは即ち負債が表面化するとなることなのです。
中国の銀行は膨大な不良債権の先送り(飛ばし)を行っていると言われてきており、これが表面化すれば中国の大手銀行も無事では済まないとも言われており、そう簡単に企業整理・設備削減など出来ないのです。
また人員削減が鉄鋼分野だけで160万人と言われています(全体では600万人)が、これだけの人員を削減すればいくら広い中国と言えども社会不安が起こります。
今回の相次ぐ格下げ予告(ネガティブへの変更)は中国経済への警鐘となりますが、中国にとり一つ都合が良いのは、格下げで人民元安・香港ドル安が公認されることであり、そうなれば輸出企業は手取りが増えて資金繰りに一息つけることになります。
中国企業の経営不安・破たん等は一瞬にして表面化することになりますので、上場企業でも破たんするところが続出するかも知れません。