堺屋太一氏は日本人は、「欲ない、夢ない、やる気ない」と評し、現代日本の最大の危機はこの「3Y」にあると述べていますが、この原因を作ったのは「バブル」だったと言えます。
「バブル」までは日本人は一生懸命働き、少しでもよい暮らしをしようと死に物狂いで働きそして「遊んで」いたのです。
この「遊び」は「謳歌していた」と言い替えても良いと思います。
とにかく何事にも必死だったのです。
ところが、「バブル」で遊びながらも株で儲かる、不動産転がしで儲かるとなり、一億総不動産屋とも言われる程になり、昔ながらの言い方では「猫も杓子も」金儲けに走ったのです。
そして政府も債権大国として輸出しなくても投資収益で儲けられると煽り、「働かなくても良い」というような風潮を作り、そして企業に介入するようになったのです。
昔なら“サービス残業”という言い方などなく、社員が仕事を覚えるために自主的に早めに会社に出社したり残業したりして仕事を覚えていましたが、それは労働となりお金を払えとなったのです。
丁稚奉公? 滅私奉公? 『債権大国日本には相応しくない』となり、先進国なみの労働とみなされるようになり、結果、企業はならば社員に教育はしない、残業もさせない、終身雇用制もなくし、安価な労働者として派遣社員やアルバイト社員を増やしたのです。
挙句の果てには、中国や韓国や東南アジア諸国に工場や拠点を移し、更にはタイやベトナム等から優秀な人を日本に呼び寄せ、技術を教えたのです。
今やスキルを身に着けた彼らが日本の工場で日本人を教えるという本末転倒な事態も起こり始めているのです。
そして、結果何が起こったかと言いますと、いつまでたっても(年がいきましても)スキルを身につけることが出来ない大人が大量に生まれ始めたのです。
年収で200万円にもいかない大人、特に男性が大量に生まれだしたのです。
(今や非正規雇用者数は全雇用者の37%を超えており、厚労省の雇用構造実態調査では40%に達していると言われており、年収も正規雇用者に比べ40%程低いとされています)
この年収で「結婚しろ」となりましても無理であり、かつ非正規雇用であり生活の安定もなく、結婚したくても出来ない環境になってしまったのです。
年々歳はいきますがスキルは見についておらず、正社員として働くことが出来ない環境になり、いつまでたっても年収は変わらないか、反対に年がいけば行くほど働く場所がなくなり収入が減りまともな生活ができない事態になってきてしまったのです。
若い間に低収入であればまだ「夢」も「希望」も持てますが、非正規雇用の同じ境遇で10年もいれば夢も希望もなくし、やる気さえ失います。
そして最大の問題が起こり始めたのです。
大企業に勤めていた正規雇用者の悲惨な実態です。
JALの倒産、スカイマークの倒産、三洋電機の消滅、シャープの危機、東芝の危機、等々上場企業が相次いで危機に直面し、勝ち組と見られてきた上場企業のサラリーマンが解雇等で職を失い始めたのです。
40歳以上で年収600万円や800万円以上得ていたサラリーマンが職を失い始めたのです。
次の仕事では年収は半分以下になるのが通常であり、それでは生活が成り立たないとして職探しを諦め、貰った退職金で食いつなぐ生活に陥り、結果じり貧となる大手企業社員が急増してきているのです。
大手企業退職時に40歳であれば、貰った退職金で働かなくて5年や10年は食いつなぐことは出来ますが、10年間働かなくて、お金が尽きて50歳になってから仕事を探すことなど不可能であり、結果生活・家庭が破たんします。
そのような家庭に育った子供は夢・希望などあるはずがありませんし、そのような大人を遠くから見ている他の子供も「あの大企業に勤めていた大人があの様では自分などは・・」となり、結果、「夢」も「希望」も「欲」もなくし、そして人間として一番必要な「向上心」を無くます。
今の日本は猛烈な勢いで荒み始めていますが、日々報道される子供への虐待・殺害等の悲惨な状況を見ればわかります。
昔ではあり得なかった悲惨な事件が相次いでいるのも日本全体が荒み始めたからであり、これはもはや止めることは出来ません。
行きつくところ、即ち、社会の崩壊にまでいかないと止まりません。
そしてその時、日本に何が起こるでしょうか?
また軍国主義が復活しているかも知れませんし、そうはさせないと中国とロシアが日本支配を本格的に始めるかも知れません。
いずれにしましても、今の日本の姿が崩壊することになります。