中国の外貨準備高が猛烈な勢いで減少しており、1月は995億ドル、円換算で11兆円余り減少しています。
2014年のピーク時より7620億ドル、円換算で85兆円以上減らしてきており、現在は3兆2300億ドル、円換算で370兆円余りとなっています。
国際金融筋ではこの3兆2300億ドルが減り続けることで、近々に中国は危機が訪れることになると指摘し、しきりに人民元売りをけしかける向きがあります。
ここでこの中国が保有する3兆ドルを超える外貨準備高が多いか少ないかが問題になります。
日本が保有する外貨準備高は1兆ドル程であり、規模からすれば中国は日本の3倍もの外貨準備高を保有しています。
これだけ見れば中国は3兆ドルも必要なく、2兆ドル以下でも十分ではないかとも言えます。
何故なら今や殆どこの外貨準備高では運用ができないからです。
年利5%以上で回せるのであれば外貨準備高を無制限に積み上げておくメリットもありますが、今のように1%台では積みあげておくだけで目減りをしてしまうからです。
中国の戦略を見ますと、この外貨準備高を減らし5%以上の収入を得られる不動産や株を買い集めているようで、運用を強化しているとも言えます。
ただお金を積んでおくのではなく、運用しているために外貨準備高を減らしているとなると中国危機はあり得ないことになります。
仮にピークから減らした85兆円以上の大半が利回りを求めて運用に回されたとしますと今後物凄い運用益を計上することになるでしょうし、今後外貨準備高を取り崩し更に1兆ドルもの運用資産買いを入れてきた場合、ポートフォリオ上は、総額で2兆ドルが金融資産での運用、2兆ドルが不動産等での収益確保分となります。
不動産等での運用分2兆ドルで5%の収益となれば、年間10兆円以上の収益となり、
これに金融分の収益として利回り1%として2兆円となり、併せれば年間12兆円余りの「収益」となります。
今、中国はポートフォリオ組み直しをしている最中となれば、外貨準備高を減らすのは危機でもなんでもなく、かえって健全化に向かうことになります。
実際には運用ではなく月間10兆円も資金が海外に流れ出ているとの論調が日本では圧倒的ですが、今後人民元を下げたい向きと反対に守りたい向きの戦いが激しさを増すのでしょうが、中国政府にとり輸出及び外貨収入分を考えれば「人民元安」が良い訳であり、この点では人民元安に異を唱える者は金融市場にはいないことになります。
*爆買い・海外旅行には人民元安は逆風となります。
中には人民元は30~50%減価するべきとの論調もあり、そうなれば円高はその分進むことになり、一ドル70円台も覚悟しておくべきとなります。
一ドル100円どころではない超円高が人民元安と共に訪れるかも知れません。