予てから危惧されていました日本企業株の筆頭株主問題が日経で報じられています。
今や東証一部上場企業の4社に一社の筆頭株主が「日本政府(公的)系」となっており、日々この比率が拡大していっており(時価総額は500兆円、政府系持ち株は39兆円分)、大手機関投資家は、「企業分析を重視する普通の投資家は手を出しにくくなる」としており、日本株式市場が今やまともな分析では理解できない株価水準になってきているとしているのです。
これはこのブログでも何度も指摘しておりましたが、PKOが行き過ぎたためであり、PKO、プライスキープオペレーションとなり、株価維持作戦とでも訳されるのでしょうが、株価が下がれば日銀・GPIFが買いに入り下支えをするとなっており、これでは高安が管理されてしまい、まともな市場原理で株価が動かず、アナリストは必要ないとなってきているのです。
会社四季報の株主欄を見れば誰が大株主か大凡の推測はつきますが、今や以下のような状況になっている会社があるとされているのです。
TDK 政府(公的)持ち株比率 17%
アドバンテスト 政府(公的)持ち株比率 16.5%
日東電工 政府(公的)持ち株比率 14.2%
本企業からすれば筆頭株主が政府系となれば何も言わないありがたい存在と思うでしょうが、政府(官僚)からすれば違います。
実質筆頭株主として、安倍内閣が目指す「賃上げ・正社員化・残業抑制」等々、色々政策面で”協力を仰ぐ”という圧力をかけて当然となるからです。
官僚からすれば、折角筆頭株主という地位を得た訳であり、これを政策遂行手段に使わない手はないからです。
既に東証一部全体の7%程を政府系が保有しているとされており、今後も日銀が日経平均ETF購入を倍増させるとしており、この比率が高まり続けていけば、政府支配比率が10%を超える日も近いかも知れません。
アメリカはこの比率は<0%>ですが、FRBがニューヨークダウを買うを言えば袋叩きにあうでしょうし、年金基金は「株のような値動きのある金融商品は長期的運用をする年金運用には相応しくない」となっており、あり得ません。
ヨーロッパは国営企業が民営化のために株を放出し上場している関係上、この政府持ち株比率は<6%以下>とされていますが、今や日本はそのヨーロッパを超えてきており、中国とならび国の管理下に入りつつある大企業が多くなってきている管理された市場と言えるのです。
今後の株価を見る上で注目するべき点は、日本最大の民間機関投資家と言える【日本生命】が今の株式保有比率2%を売却していくのかどうかとなります。
生保業界は今や国債では運用が出来ず、不動産や株で運用するしかありませんが、その不動産もファンドや中国人による買いでとても利回り採算にあう状況ではなくなってきており、買うに買えない状態になってきているのです。
株もまともな分析では買えない株価になってきており、ならば買うのではなく売りから入るとなり、生保・損保業界がこぞって売りに入れば、いくら日銀・公的資金が買い支えをするとしましても限度があり、日経平均は今のレンジ相場である16,000円ー18,000円から、14,000円ー16,000円に移行し、金融危機が発生した場合には、売りが殺到し10,000円ー14,000円に移行するのでしょうが、その時にPKOが発動され株を買いまくれば、、政府系持ち株比率が急上昇し20%を超える大企業も出てくるかも知れません。
日本株式市場が今の時価総額500兆円で、政府系持ち株が50兆円、60兆円となれば、もはや自由ではないとして外人も逃げ出し時価総額が400兆円、300兆円となれば、政府系所有比率は20%を超えていくことになり、管理された市場となり、市場として自由はなくなり、市場としては「死」しかありません。
大手機関投資家の専門家の「普通の投資家は手を出しにくくなる」発言を軽く見れば手痛い打撃を受けることになりかねません。