FT紙は以下のタイトルで経団連会長との会談内容を報じています。
『Japanese business lobby calls for yen intervention 』
直訳すれば、「日本の圧力団体が円介入を求める」となりますが、今の経団連が「圧力団体」となっているのは昔を知る者からしますと違和感があります。
昔の経団連であれば、財界総理と言われたこともあった程、政治にも影響力を行使していましたが、今の経団連はそのような力はなく、単なる上場企業(有力企業)の親睦団体になっているからです。
政治に影響力を行使する力はなく、単なる寄合親睦団体であり、そこにFT紙がインタビューをして上記のような発言を引き出しているのです。
このFT紙の報道では、経団連会長は以下のように述べたと報じられています。
(記事本文)円の最近の対ドルで100円接近は2011年以来の大蔵省(財務省)による介入を挑発する動きとなっており、『我々(経団連)は、行動する時が今や来たと思っている。1月には一ドル118円だったものが今や104円、105円となっている。6ヶ月で15円だ』
『このような動きは尋常(orderly)ではない。財務省はリーズナブルなレンジに収まるように行動するべきである」
少し前までは、麻生財務大臣もしきりに為替介入を示唆していましたが、G7会合後は音無しとなっており、これもあり一ドル103円に突入しているものですが、ここで経団連会長が明確に為替介入を求める発言をしたことは、一ドル100円突破は何としても避けたいという意図が見えます。
ただ、仮に一ドル100円の攻防となり、この100円突破防止に日銀が100億ドル、200億ドルを投入した場合、どうなるかです。
もし、ジョージソロス氏等の投機筋が円買いに資金を投入してきて日銀が防戦買いを100億ドル(円換算で1兆円)単位で入れましても一瞬で「食われて」しまい、一日で数百億ドル、円換算で数兆円を失い、このような介入を5日間も続ければ、日本の外貨準備高は1000億ドル、円換算で10兆円を失いかねない事態に追い込まれます。
それで円買いの圧力が消えればよいですが、減り続ける外貨準備高を前に、更なる円高は避けられないとして更に上場企業がドルの<実需売り>を市場に持ち込んできた場合、財務省は日本企業によるドル売りを制限する処置をとることもあり得ます。
イングランド銀行を打ち負かし6,000億円とも1兆円とも言われる利益を上げたジョージソロス氏が市場に戻ってきた今、日銀・財務省は円高阻止に外貨準備高すべてを介入に投入することも辞さない構えでいる必要がありますが、果たしてできるでしょうか?
10兆円、20兆円という、中途半端な介入は格好の利益を相手方に与えるだけでありやるべきではありませんが、さりとて100兆円を円高防衛に使うといえば、為替操作国という認識がされ、世界中から袋叩きにあいます。
一ドル100円の攻防がどうなるか。
個人は儲けられると思い参戦するのでしょうが、政治的な動きをする以上、手痛い打撃を受ける可能性が高いということを頭に入れておくべきだと言えます。
年間数兆円の金融取引をするヨーロッパの専門家は以下のように述べています。
『Stay out』
入り込むなとなります。