EUが財政規律を放棄したと発表されています。
EU委員会が財政赤字をGDP比3%未満に抑えるという財政ルールにつき、スペイン・ポルトガルには適用しないと決定している
のです。
スペインは2015年の財政赤字はGDP比で5.1%となり、2016年も3%未満は不可能とされており、ポルトガルも2015年はGDP比で4.4%の赤字となっており、2016年は更に悪化するような予算となっており、本来なら厳しい勧告と罰金が科せられるはずですが、 両国ともお咎めなしとなっているのです。
これでこの3%ルールを逸脱する国は、イギリス・フランス・スペイン・ポルトガル・ギリシャ等となり、EUの主要国が並んでおり、全体としては改善されているとされていますが、主要国が守れない(守らない)規律となっており、今や有名無実化してきていると言えます。
今、イギリスがEUから離脱するとの国民投票をすることでEUの結束が揺らいでおり、ここで反政府勢力が力を持ちはじめている
スペインを更に苦境に追いやる策(罰金)を取るべきではないとの政治的判断が働いているのです。
政治的判断が規律を超えることが起これば、その規律は崩壊します。
今、EUがその規律崩壊の危機に直面しており、これがユーロ危機と捉えられれば、ユーロ安となります。
今、対ドルでじわりじわりとユーロが売られているのもこの罰金が科せられないと決定されたことが原因であり、今後サミットで協調が出来なかったとなれば、ユーロ売り・ドル売りが進むことになり、結果として円が買われることになります。
円安を何とか進めたい日本とそうはさせないという国の利害がぶつかりあっており、財務大臣会合では日本は完敗となっており、次はサミットになりますが、果たしてサミットで議題になるかどうかとなります。
何故なら、かたくなに財政出動を拒否するドイツに日本が強硬に財政出動を迫れば、サミットの協調が崩れ一人日本が孤立することになりかねないからです。
スペイン・ポルトガルの財政規律放棄はユーロ安を狙うEUにとっては援軍となるのは間違いありません。