ヨーロッパ歴訪中の安倍首相はドイツのメルケル首相に以下のような提言を起こっています。
「世界経済は大きなリスクを抱えている。しかも予見しがたい。いまこそG7には構造改革の加速化にあわせて機動的な財政出動が求められており、サミットでG7として一段と強い明確なメッセージを発出したい」
これに対しメルケル首相は以下のように返答をしています。
「世界経済の成長はまだまだだ。特に新興国の経済が弱い状況にある。これらの国で構造改革を行うことが重要だ」
「財政出動は私は決してフロントランナーではないが、構造改革、金融政策、財政出動の3つを一緒にやっていかなくてはならない。財政出動だけではなく、民間投資で引っ張ることも重要だ」
即ち、安倍総理が求めた「財政出動」は行わないという考えを示しているのです。
イギリス・キャメロン首相との会談でも同じであり、G7の両首脳から「NO」を突き付けられた格好になってます。
ドイツは財政黒字国であり、財政には余裕はありますが、今はお金を出したくないとなっており、この理由は「ドイツ銀行」のデリバティブにあります。
このデリバティブ問題が炸裂した場合、下手しますと数十兆円の財政負担が発生するとみられ、今はこれに備えたいとなっているのです。
イギリスもEUからの離脱となれば、数十兆円規模のデフレ要因が発生するとみられ、財政はそのために取っておきたいとなっており、今は財政出動は想定しないとなっているのです。
景気のためには財政出動は必要とわかっていても、「株も高い、景気もまだそれほど悪化はしていない」となっているドイツ・イギリスであり、今は温存となっているのです。
日本はここで次なる「矢」を打ちませんとアベノミクス相場が崩れると危機感はありますが、ヨーロッパはそもそもそのような「アベノミクス」なる言葉を使っておらず、市場・経済には浮き沈みは常にあるとして、全く関係ないとの立場なのです。
あるヨーロッパの外交官は以下のように述べていました。
『メルケルミクス』というような軽い言葉を作るような政治家はヨーロッパにはいない。
アメリカも「オバマミクス」と言っているか?
日本はいつにまにそんな軽い国になってしまったのか?
中国はとうの昔に「リコノミクス」なる言葉を消し去っているぞ。』
安倍総理はいまだに「アベノミクス」という言葉に酔っていますが、市場の反撃にあい始めて今慌てているとヨーロッパの首脳に見透かされている姿があります。
今は株を買い支え、円高をけん制していますが、いつまでそれが続くでしょうか?