激変した「爆買い」の実態と赤信号が点灯している日本の景気

投稿者: | 2016年04月02日 10:39

政府・企業とも「爆買い」に期待を寄せていますが、とんでもない実態が明らかになっています。

まずその実態の前に「爆買い」で最も恩恵を受けていた企業である「ラオックス」の株価を見ておきたいと思います。

昨日の終値 129円 年初来高値1月4日 240円 年初来安値 3月24日 117円
10年来高値 2015年7月24日 564円

今年の高値から46%下落し、昨年高値からは77%を超える暴落を演じていることが分かります。
政府・マスコミが発表します「爆買い増加」・「爆買い推進」を信じて「ラオックス」株を昨年7月に1,000株56万円で購入した個人は今やその価値は13万円もない状態になっており、下手しますと店舗の過剰投資でまた経営破たんするかもするかも知れない株価である100円を割り込むかもしれません。

中国人は増えているにも関わらず一体この暴落はどうしたことでしょうか?

その回答は【三越伊勢丹】の以下の発表にあります。

3月の外国人購入単価 -17%  免税売上高 +9.1% 客数 +30%
三越総売上高 -2.9%

これから分かることは今来ている外国人は「爆買い」していないということです。
安い化粧品や雑貨を買っており、人は来ているものの単価の高い商品は買っていないということなのです。
30%も客が増えて単価が17%も落ちていれば自ずと結果はわかります。

そして何より問題は「爆買い」しない外国人がデパートに殺到し、ごった返しておりとても優雅にデパートで買い物という雰囲気ではなくなく、今までのマダム(上客)が飛んでしまったということです。

結果、外国人免税売り上げが9.1%増加しているにも関わらず、全体の売り上げは反対に2.9%減らすという皮肉な結果になったのです。

以前も指摘しましたが、外商を通じて買っていたマダム(上客)の中には『そんなに中国人を優遇するのなら中国人専門のデパートになれば』という人も出てきているのです。

デパートで買わなくても専門店や外国で買えばよいからとしてデパートを敬遠する富裕層が激増している筈なのです。

また以下の数字もご覧ください。

<宝飾・時計売上>
J・フロントリテイリング -21%
高島屋 -6.5%(宝飾)、-4%(時計)
伊勢丹三越 : -3%

外国人富裕層・日本人富裕層が購入する【高級宝飾・時計】の売り上げが軒並み減少しており、三越では<100万円~500万円>の時計の売上が二ケタの減少を記録していると発表されているのです。

単価の安い化粧品も雑貨も確かに売上には必要ですが、今のような対応をデパートがしていれば、「安物爆買い」外国人が消えた時、マダムも消えた・外国人も消えたとなり、デパートは閑古鳥がなき、存亡の危機を迎えることになります。

今の香港の超高級ショッピングセンターは将来の日本のデパートの姿かもしれません。

中国人もいない、香港人もいない、で閑古鳥が鳴いています。

今外国人が来ているのは日本が好きからではなく、安く売られているからです。
円安メリットを感じているからです。

では円高に向かえばどうなるでしょうか?
仮に一ドル100円となれば120円時に比べて20%程高く感じることになり、日本でのショッピング・飲食は安いと感じていた「安物爆買い」中国人は途端に日本は「高い」となれば日本から離れていきます。

円高は「安物爆買い」中国人を遠ざけることになりますが、その時が刻一刻と迫ってきていると言えます。

また、マダムも消えつつある姿が、2月のデパートの売り上げが全社でマイナスになったことですでに異変が出てきているとも言えるのです。

2月の売上高
J・フロントリテイリング -7.1%
高島屋 -1.2%
伊勢丹・三越 -2.9%
そごう・西武 -5.7%

「安物爆買い」に踊らされているデパート経営者はデパートの本当の購買者である富裕層優遇にシフトしないととんでもない事態に陥ることを認識しておくべきだと言えますし、政府・マスコミ発表に踊らされて「爆買い」に期待・シフトすれば気がつけば「爆買い」どころか「閑古鳥」を大量に飼うことになりかねません。

31日に銀座・数寄屋橋にオープンしました大型店舗がありますが、マスコミでは行列ができていると報じていましたが、初日の夕方6時には行列を整理しますポールには誰もおらず、昨日も7時過ぎにはポールがほぼ隅に置かれ、整理要員が意味なく行列整理用のプラカードをもって立っているだけでした。
そして誰一人としてショッピングバックをもって出てきていなかったのです。
裏口からお客が出てきていたのかわかりませんが、少なくとも表の通りでは誰一人としてショッピングバックをもって出て来る人はいませんでした。

「爆買い」に頼る日本の経済政策が破たんしつつあることをあらゆる経営者は理解しておくべきだと言えます。

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