財務省が発表しました企業景気予測調査では、以下のように企業の景気判断が大幅に悪化しているのが分かります。
全産業(大企業)
10・12月期 1・3月期 4・6月期
4.6 -3.2(前回+5.6) -2.2(前回+1.3)
これを分析しますと以下のようになります。
10・12月期 予想(1・3月) 予想(4・6月)
前回調査時 +4.6 > +5.6 > +1.3
今回調査時 +4.6 > -3.2 > -2.2
大企業(全産業ベース)は、1-3月期は10-12月より<良くなる>と判断していたものが今や<-3.2>と一気に悪化している姿が分かるのです。
更に4-6月期も今や<水面下(-2.2)>となっており、通常は期待を込めて良くなるとしますが、それが<-2.2>となっており、今、企業が景気に対して如何に厳しい見方をしているかわかります。
また、大企業製造業をみますとガタガタになっているのが分かります。
10・12月期 予想(1・3月) 予想(4・6月)
前回調査時 +3.8 > +4.0 > +0.0
今回調査時 +3.8 > -7.9 > -3.5
<+4.0>予想だったものが<-7.9>と変動が12ポイント近くに達しているのです。
それほど、大企業製造業の業況が悪化してきたと言えますが、これはブログ等で昨年から一貫して指摘していることで、今になって大企業は足元の業況の悪化に驚き対応を進めていると言えるのです。
今や世界中で需要が、潮が引くように遠ざかって(消えて)行っており、その消える(引く)勢いは日に日に強くなっています。
その需要が遠ざかる姿は以下の数字を見れば更によくわかります。
中小企業(製造業)
10・12月期 予想(1・3月) 予想(4・6月)
前回調査時 -6.6 > -6.7 > -0.2
今回調査時 -6.6 > -19.3 > -6.1
前回調査時には、この1-3月期は10-12月期とほぼ同じ<-6.7>予測だったものが何と一気に<-19.3>になっているのです。
ここまで急激に悪化する理由は今まで楽観しすぎていたということに尽きます。
株も高い、円も安い、爆買いもあるとして楽観していたのです。
ところが実際には「親亀」である大企業の販売不振から大企業に在庫がたまりはじめ、年明けにそれが一気に膨らみ、慌てて「子亀」である中小企業あて発注を減らし更に納入価格削減を求めたのです。これで一気に中小企業の景況感が悪化したもので、では4-6月期はどうなるでしょうか?
3月期末を迎え大企業や中堅企業は何とか決算をよく見せるために在庫をどこかに“飛ばす”でしょうが(これはGDPを押し上げる“効果”もあります)、それは4-6月期にはかならず表面化することになります。
勿論、大企業からその“飛ばす”資金を回して貰い、在庫”飛ばし”分を抱え続けることも可能でしょうが、日に日に悪化する景気を前に果たしてどこまでその“飛ばし”を抱え続けることが出来るでしょうか?
4-6月期の景気は”飛ばし“分の処理も出てきますので景気は一層悪化することになりかねず、これは税収にも大きな”穴“をあけることにもなります。
この税収とその後の政府の対応につきましては、別途解説させて頂きます。